しまチャレ 2024 ながさき「しま」のビジネスチャレンジ2024

輩インタビュー

輩インタビュー

しまの先輩ノート No.1

対馬市美津島町(対馬島)
有限会社 丸徳水産
犬束ゆかりさん

島歴58年 水産業

対馬の美しい地で水産業の未来を築く犬束さん。対馬市の生まれ育ちで、地元の食材と漁業に深い愛着を持っています。磯焼けの原因となる食害魚のイスズミを有効活用できないかという考えから、イスズミのメンチカツを開発。2019年に第7回Fish-1グランプリのファストフィッシュ部門でグランプリを受賞しました。さらに、学べる海の体験ツアー「海遊記」を企画し、地元の漁師の方と連携して実施。長崎県ツーリズム・アワード2022で、観光産業と離島振興のモデルケースとして準グランプリを受賞しました。そんな犬束さんの事業は、地域社会への貢献と環境改善への情熱からはじまりました。

いろいろ聞きました

起業までのご経歴を教えてください

高校卒業後、地元である対馬の魚函(海産物を入れる箱のこと)の会社へ就職しました。
24歳で結婚し、育休や産休を活用し28歳まで魚函の会社に勤務しました。そこで対馬の各漁港で魚の獲れる時期や魚種などを学びました。起業後もその時の知識が役に立ちました。
28歳で退職し、3人目の出産後、主人が漁業者になりました。主に素潜り業に従事し、私自身も海に入りウニや、サザエ貝類などの漁にも出漁しました。
そこから対馬で水産物の加工販売を始めました。当時は作業場もなく、猫の額ほどの玄関を作業場にし、設備も貰い物でまかないました。店舗がないので路上販売もしたり……そのような中で一つずつものを揃え、スタッフを雇用し36歳の時に法人化しました。

なぜしまで起業することになったのですか?

主人が苦労して水揚げする魚介類に付加価値をつけ販売したいと思ったことが、起業に繋がりました。 当時は水産物が豊富に水揚げされていたにも関わらず、生産者は非常に弱い立場にありました。大量に獲れれば買いたたかれ、少ない水揚げでも仲買人の提示価格で売り値が決まっていた時代です。どこの家庭も朝早くから遅くまで両親は働きづめでした。 漁家に生まれ、子供のころから周りの漁家も決して暮らし向きがよくはなかった事情を見てきた私には、商品の販売価格を卸業者が決めるのではなく、自分で値付けができるようにしたいという思いが強くありました。 その思いを胸に起業し、生産者が直接売り裁き、漁協には手数料を納めるというシステムをつくるに至ったのです。 自分たちのみで朝市を開催し、そこで得た消費者からの要望に応えていきました。消費者からの声に先に進むべきヒントが隠されていると思います。

苦労したこと、これをしてよかったと思うことを教えてください

とにかく軌道に乗せるまではがむしゃらに、朝早くから夜遅くまで働きました。その中で雇用を増やしていけたので、今は楽をさせてもらっています(笑)。 作業に追われるため、三人の息子たちには、かまってあげることが出来ず寂しい思いをさせたと思います。しかし兄弟仲も良く、その姿を見ると、起業しながら子育てしてきたことは、間違ってなかったと思います。 今ではその息子たちも三人ともに各部門の長となり、助け合いながら仕事に従事してくれています。 子育ては一緒にいる時間の長さより質だと思います。企業の主になることは責任も負いますが、夢も追えます。リスクも抱えますが、志を同じとするスタッフも抱えることが出来ます。 その時、その時の判断で、正しいと思う事を選択できること。また、漁村を取り巻く環境の改善や、地域貢献できる企業像といった夢を叶えることが出来たことが、私の起業して一番良かったことだと思います。

先輩起業家として、応募者に一言お願いします!

島でも島以外でも同じだと思うことがあります。周りの方々への感謝を忘れないこと。少し大げさかもしれませんが、地域や隣人が幸せになれるように思いを馳せることは大事だと思います。 地域と共に、という気持ちは本当に大事です。弊社が今日まで存続できたのは、周りの方々の応援や、協力があったこそ。地域の方からの応援がなかったとしたら、今日の存続はなかったはずです。 若かりし頃は、自分たちだけよければそれでいい、驕った考えもあったかもしれません。しかし、未熟な私たちを今もなお育て、導いてくださってる、地域の方々や仲間たち。そして常に私を慕いついてきてくれるスタッフたち。年を重ねるごとに、そんな周囲の人々との繋がりの大切さを実感しました。これから先、色々な壁が立ちはだかることと思いますが、越せない壁はないと思っています。頑張ってください。

犬束さんの会社の

事業概要

弊社は飲食部門、水産加工部門、体験ツアー魚類養殖、海藻養殖等藻場再生等に取り組む部門で構成されています。地域の困りごと解決が企業の役割と認識し、2019年からは本格的に食害魚の有効活用にも取り組み成果を上げました。また、見せる(魅せる)漁業の体験ツアーも評価をいただいています。
  • 会社名
    有限会社 丸徳水産
  • 設立
    平成14年5月9日
  • 資本金
    500万円
  • 従業員
    15名
  • 所在地
    長崎県対馬市美津島町久須保668
  • 所属
    ・対馬観光物産協会(理事)
    ・対馬市商工会
    ・美津島町漁協組合員(理事)

犬束さんが利用した
支援制度

特定有人国境離島漁村支援交付金(平成30年)

advise 起業したばかりはどのような支援制度があるかもわからず自力で始めましたが、知っていれば近道できたことがたくさんあります。困りごとは各行政の窓口へ相談されると、解決策が見つかることも多いと思います。私の場合は、県水産業普及指導センターからの専門的知識や、市役所各機関からの助言が役に立ちました。