「しま」のいま
松浦市(黒島、青島、飛島)編
人材不足を補い、持続可能な離島を目指す
■産業構造が大きく変化した黒島と飛島
玄界灘や伊万里湾に面した松浦市は、豊かな自然を有し、古代から対外交流の拠点として栄えてきました。平安時代後期には「松浦党(まつらとう)」と呼ばれる武士団が起こり、中世以降も活躍したことが知られます。
松浦鉄道の松浦駅周辺を中心とし、その北側に離島が浮かんでいます。今回のしまチャレの対象となるのは、青島(人口約160人)、黒島(人口約30人)、飛島(人口約30人)の3島です。本土から黒島へはフェリーで約40分、青島と飛島へはフェリーで約15分の所要時間目安となっています。
人口約30人と小規模な島が黒島と飛島です。黒島はもともと石材の産地として知られていましたが、現在はジャガイモなどを生産する農業が中心。最近では、ツバキを生かした商品開発も検討されています。
飛島では江戸時代中期に石炭の採掘がはじまり、昭和35年(1960)には人口が2000人を超えるほど石炭産業が盛んでした。しかし、昭和44年(1969)に炭鉱は閉山。現在はカタクチイワシなどの水産業が中心で、炭鉱の遺構はとくに活用されていません。
■新たなチャレンジを続けてきた青島
3島のなかで最も人口が多い青島では、水産業が主産業で、魚種も豊富です。いち早く約20年前から、漁業と観光を組み合わせた体験型旅行にも取り組んできました。水産加工品「青島かまぼこ」などの製造・販売に加え、漁業体験や民泊、海水浴などを通じた観光事業が展開されています。
平成28年(2016)には、島民全員が社員となって運営する一般社団法人「青島〇(あおしままる)」が設立されました。福岡・佐世保など都市圏との関係構築を試みたものの、人材不足などにより現在は活動が停滞しています。
島で生産された海産物を、船やトラックで本土に運ぶにあたって、帰路に空荷となっている現状も課題です。帰路の空荷を改善することで、新たな物流のビジネスモデルが構築できるかもしれません。
令和6年(2024)には青島地域まちづくり運営協議会が発足し、青島において行政と住民が連携した地域課題への対応が本格化しました。まちづくり運営協議会とは、地域内の住民や団体等が協働して、地域主体のまちづくりを推進する組織を指します。
青島のお助け隊の結成など、島の住民で助け合う取り組みも少しずつ形になってきています。松浦市は、交付金等を通じてまちづくり運営協議会の活動を支援しています。
■人材不足を補うアイデアが求められる
黒島・飛島・青島の3島が共通して抱えている課題は、人口減少や交通手段の確保、買い物難民、医療資源の不足など多岐にわたります。
例えば買い物においては、島内で買い物ができる場所や、商品の選択肢が限られるうえ、輸送等の関係により島外で買うよりも高額になってしまいます。かつては青島に数店舗あった商店も、いまでは1店しか営業していません。黒島と飛島にも商店は1店あるものの青島より小規模で、飛島には商店がないのが現状です。島内で買えるものが限られているため、元気な住民は島内では買わずに、島外に買い物に出かけているのが現状です。
こうした状況を踏まえ、松浦市では関係人口を増やす施策として、移住相談会や、地域おこし協力隊の募集、全国の離島が参加する交流イベント「アイランダー」への出展、集落お手伝いツアーの実施、SNS等での情報発信などに取り組んでいます。
イベントへの出展で顕在化した課題として、常温で出せる商品がないことが挙げられます。現在は水産業を主産業としているため魚の商品が中心ですが、今後、島の資源を活かして、長時間保存できる商品が開発できないか、話し合いを進めていく予定です。
松浦市の離島は多彩な資源と魅力にあふれているものの、地域を支えるエッセンシャルワーカーや担い手が不足しているのが現状です。しまチャレを通じて、持続可能で魅力的なまちづくりのアイデアが期待されています!
■松浦市の「しま」のビジネスに関する問い合わせ窓口
松浦市役所 政策企画課
記事公開日:2025/8/12
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